つらつら >>偽りコミュニケーション

雑音は砂嵐のように視界を覆い隠す。

コミュニケーションには絶対的に会話の噛み合いが肝要だ。

ごますりきの、均等に刻まれた細かな円周の窪みと、丸く平らな表面の木のすりこぎ。
黒ゴマを振りいれて、すりこぎをゆっくり円周にそって動かしていく。

ゴリゴリゴリ

ごますりきとすりこぎは、いつまで経ってもかみ合うことはない。

ゴリゴリゴリ

ただすりこぎの平らな面は、窪みの一線一線に猥雑なゴマを詰めていく。

ゴリゴリゴリ

かみ合わせた振りをして誤魔化し続ける。

ゴリゴリゴリ

いつまでたっても、私とあの人との会話がピタリとくっつきあうことはないように。

「ねぇ、聞いてるの？」

ゴリゴリ　ゴリ

「聞いてるよ。」

ゴマだらけの視界は暗い。
私の声もあの人の声も、砂嵐の中に紛れていく。

つらつら >>綻線夢中

誰かがそれは卑怯だといった

なにが卑怯なのかわからなかったけど

原因はきっと頭の中で思考するコードが

ことあるごとに適当なプラグに差し込まれて

抜いて

差し込んで

抜いて

どれがどれだか

ぐちゃぐちゃになっているせいだと思った

誰かがそれは卑怯だと言ったけど

私はその話を聞きながらうんうんうんと頷いて

視線はずっと手前にある

頭のコードを解くためにじっとみていた

「なんとかいったらどうなんだ」

うんうんうん　聞いてるよ

でもまたプラグ抜かなきゃ

そしたらまた　差さなきゃ

差したら私の意見も言うから

ぐちゃぐちゃの思考回路を通った意見でも

あなたはちゃんと聞いてくれるだろうか

自分のことで精一杯なこの私の意見だろうと

必要としてくれるだろうか